top of page

マーくんのポケット

マーくんのポケットには、いつも宝物がいっぱい入っていました。マーくんは毎日裏山に出かけると、気に入ったものをポケットに入れていました。石ころ、木の枝、カマキリの卵…。マー君にとっては、どれも大事な宝物でしたが、ママにとっては悩みの種でした。『どうして?』って、それは、ある朝マーくんのポケットから、数えきれないほどのカマキリの赤ちゃんが元気よく跳びだしてきたからです。

今 日もマーくんは沢山の宝物をポケットに入れて誇らしげに帰ってきました。「見て!このドングリ、すごいでしょ!」けれど、どのドングリも全部割れていまし た。「残念ね、全部割れてるのね…」とマーくんのおかあさん。いつもは大人からあまり理解されないマーくんですが、その日は大好きなおじいちゃんが、遠くから 遊びに来ていました。マーくんがポケットから割れたドングリを出すと、おじいちゃんにはマーくんの言いたいことが、すぐにわかりました。

「すごいな!マーくん。どのドングリも全部殻を割って芽を出そうとしてるんだね!」






最新記事

すべて表示

幼い日の出来事

ある日、父と裏山へ出かけました。泥濘った斜面や足場の悪いところにくると、父はいつも先に登り、上から私に手を差し伸べるのでした。ある日父が差し伸べた手につかまると、二人いっしょに泥の斜面を下まで転げ落ちていきました。 絶対的なものでも、100%頼ってはいけないことを学んだ瞬間...

最後のメッセージ

トモちゃんのうちには元気なおばあちゃんがいました。トモちゃんのママはとても忙しく働いていたので、おばあちゃんがママに変わって色んなことをトモちゃんに教えていました。その日おばあちゃんが気になったことは、トモちゃんの『握り箸』。おばあちゃんはいつもの様にトモちゃんと畳の部屋に...

Comments


bottom of page